Grand Cru Club

Actualités - GCC便り

ミュスカデのDomaine de l'Ecu

ロワール川の下流、ミュスカデ地方のl’Ecuを訪問。畑仕事から瓶のラベルまで、フレデリック・ニジェール氏の情熱とこだわりが詰まっている。こだわりが高じてAOCを名乗れないVin de Franceがいくつもある。

30haの葡萄畑全域が1975年からビオ、1998年からビオディナミ。醸造は、1/3をアンフォラで、2/3を地面を掘ってコンクリートを流した地下タンクで行う。

ニジェール氏はアンフォラを使いこなす第一人者。160Lから1450Lまで、大きさも形状も気孔率も様々なアンフォラを110個所有し、経験とセンスで使い分けている。アンフォラの素材はテラコッタか砂岩で、中のワインが土を透して呼吸するので、アンフォラを置く部屋は雑菌が入らないよう清潔に保っている。醸造の途中でアンフォラから溢れた液は直ぐに拭ってバクテリアの繁殖を防ぐ。

SO2は瓶詰めの時に僅かに加える。それでも、月の引力の影響でワインに浮き沈みがある。悪臭異臭のクレームがあった時には、全ての瓶を回収して廃棄したそう。これぞ消費者に向き合った究極の自然派かな。

葡萄の品種、区画、地下のコンクリートタンクかアンフォラか、澱引きをしたか否か、など、10種以上を試飲。自然派にありがちな異臭は全く無い。比べて飲むことで、アンフォラ熟成の比率が高いほどワインがふくよかになると実感する。アンフォラ熟成と樽熟成を半々に混ぜたワインも試飲。ワインに樽香が移り過ぎない、主張しない樽をオーストリアから取り寄せているそう。

Ecu 花崗岩

Ecu 土壌は花崗岩

Ecu アンフォラ室

Ecu アンフォラ室

(須藤)

須藤 秀章
1986年にAcadémie du Vinでワインに開眼。CIDDのAlain Segel氏によるワインと料理の組み合わせ(Mariage)に感動して以後、自らも垂直試飲・平行試飲を中心とする比較試飲会を企画。在パリのワイン愛好者が集まっての試飲会を1991年にGrand Cru Clubと名付ける。
1995年より日本でも試飲会を開催。パリでの試飲会にワイン生産者を招いたり、産地を訪問して葡萄の生育や醸造への理解を深めるツアーを企画したり、ワインのもたらす楽しみを少しでも多くの人と分かち合うために情熱を傾けている。

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